配偶者の浮気が発覚し、不倫相手に慰謝料請求をしたいと考えていても、身元が分からずにどうしたらよいか分からないケースがあります。
慰謝料請求には3年の時効があり、なるべく早く手続きを進める必要があります。
この記事では、慰謝料請求のために不倫相手の身元を知る方法を説明していきます。
慰謝料請求のためには住所と氏名が必要
慰謝料請求をするためには、不倫相手に「内容証明郵便」で慰謝料請求の根拠・慰謝料の額を記載した書面を発送する必要があります。
内容証明郵便とは、郵便物が確かに相手に発送されたことを郵便局が証明してくれる発送方法です。
そして、これらの書面を送るためには、不倫相手の住所・氏名が必要になります。
一度は経験があるかもしれませんが、住所や宛名がない郵便物は、返送されてしまうからです。
また、苗字と名前どちらかでよいという訳ではなく、氏名(苗字と名前)が必要になります。
氏名と住所がわからないと訴訟をすることも内容証明を発送することもできないため、まずは氏名と住所を調査することが必要です。
慰謝料請求だけでなく、身元情報が重要
「慰謝料請求までは考えていないが、二度と配偶者と会わないでほしい」と思っている場合、配偶者にその話をしただけでは、いつ約束を破られるかわかりません。
しかし、不倫相手の身元を調べた上で、話をすることが抑止力になります。
さらに、内容証明郵便にて「約束を破った場合は、慰謝料を請求する」といった取り決めを送り、念押しすることも可能です。
また、不倫判明後、不倫相手が逆恨みをする可能性も考えられます。
配偶者は熱が冷め別れたがっているが、不倫相手が関係継続を望んでいる場合などに多いパターンです。
ストーカーのような行動や嫌がらせ行為が続く可能性も想定し、いざという時には警察に相談できるよう、相手の身元を知っておくことも大切です。
仮に遠方であっても、必ず実家まで出向き存在していることを確認することが基本です。
すでに実家は他人の手に渡っており存在しない、更地になっているといったケースがあるため、データ収集だけでなく、現地調査は欠かせません。
不倫相手の住所を調べる方法
不倫相手の身元を知るにはどのような方法があるのかを3つご紹介します。
①不倫相手に聞く
不倫相手と連絡ができる、もしくは面識がある場合は、直接住所や氏名を聞くことで教えてもらえるケースがあります。
しかし精神的ストレスを伴う場合や、そもそも連絡先が分からず聞くことができない方が多いと思いますので、下記の②③の方法をおすすめします。
②弁護士に調査を依頼する
法律の専門家(行政書士、弁護士、司法書士)であれば業務に必要な範囲で、役所に依頼して戸籍や戸籍の附票、住民票を取り寄せることができます。
また法律の専門家は「弁護士会照会」を利用することができます。
弁護士会照会とは、弁護士が担当する事件に関係する情報を効率的に収集し、事件の解決を目的とした制度です。
以下の4点がわかれば、その制度を利用して不倫相手の住所を調べることができます。
①携帯電話番号
携帯電話会社に、契約者情報を照会することで登録されている住所を知ることができます。
②メールアドレス
こちらも①同様、登録者情報を照会する形になりますが、キャリアのメールアドレスに限られるケースが多く、住所登録がなくても使用できるgmailなどは有効ではありません。
③車のナンバー
不倫相手が所有する車のナンバーを控えてあれば、自動車検査登録事務所に照会することができます。
昨今は個人情報保護の意識が強いため、個人で情報を集めることは困難となっています。
また、慰謝料の請求までセットで弁護士に依頼することで、これらの流れを円滑に進めることができます。
③探偵に調査を依頼する
上記のようにご自分で調べた情報が、間違っていた・パートナーや不倫相手にバレてしまったなど、徒労のまま終わってしまったり、逆に不利な状況になってしまう場合があります。
そうならないために、浮気調査や身辺調査などを専門分野とする探偵に依頼することで、情報を得る方法もあります。
探偵と聞くと、「違法な方法で調査を行なっている?」といった誤解が生まれやすいのですが、公安委員会に探偵業務の届出を行なっている正式な探偵事務所であれば、合法的な方法で調査を行なってくれます。
浮気調査と合わせて不倫相手の身元も明らかにできるケースもあるため、探偵に依頼してみるのも良いでしょう。
具体的にどんな調査を行ってくれるのか、後ほどご説明します。
弁護士会照会制度の注意点
②でご説明した制度について、様々な情報を収集できるため便利な制度に思えますが、いつでも依頼できるという訳ではありません。
この制度は、弁護士が受任している事件の解決のために必要な範囲で、情報を得る制度になります。
事件とは関係なくただ情報を得ることはできないため、注意が必要です。また、法的な強制力がないため、回答を得られない場合もあります。
また弁護士会照会制度には、弁護士会によって異なりますが1件5000円〜1万円の費用負担が発生します。
所属する弁護士会へ支払う必要があります。
探偵が行う身元調査とは
そして、探偵業務として法律で認められているものは、尾行・張り込み・聞き込みの3つになります。
対象者を追跡したり、現場まで実際に足を運んで情報を得るため、確かな情報を得ることができます。
①尾行
探偵といえば尾行をイメージする方も多いかもしれませんが、調査対象者の行動を追跡することで、浮気・不倫の証拠となる情報を収集します。
いつどこで何をしていたかを証拠に収めることができるため、慰謝料を請求する裁判などで利用できる調査報告書を作成する際に役立ちます。
対象者に気づかれないよう、複数人で人を変えながら追跡することが多く、徒歩や交通機関、車両など様々な手段を使いながら、必要な時に写真や動画の撮影を行います。
②張り込み
尾行をしている調査対象者が建物に入った場合、バレないように少し離れた場所で、対象者が再び出てくるまで待機します。
浮気相手とホテルや自宅に入り、どのくらいの時間経過したのかを知ることができます。
数十分で終わることもあれば、数時間に及ぶケースもあり、また時間帯や天候も問わないため、かなりの集中力と忍耐力を必要とします。
③聞き込み
調査対象者の周りの人物に対して、電話や対面での聞き込みが行われます。
対象者についての話を引き出すには、聞き込みを行う相手からの信頼を得る必要があり、調査員はしっかりと丁寧な対応をすることが求められます。
聞き込み相手に被害が生じなければ、自身が探偵であることを名乗る必要はありませんが、
逆に公務員・警察・ある企業の職員などになりすましたりすることは違法性が問われる可能性があります。
不倫相手の勤務先へ送ることは可能
浮気相手の住所は分からなくても、勤務先がわかればそこに内容証明郵便を送ることもできます。
しかし、勤務先にそういった書類が届くと、他の従業員に浮気を知られたり怪しまれたりする可能性があり、逆に「名誉毀損」で訴えられてしまう可能性があります。
訴えられなくとも、名誉毀損を理由に慰謝料の交渉が進みづらくなったりすることも考えられますので、できる限り個人宛に送付することをおすすめします。
不倫相手の住所はわかるが氏名がわからない場合
住所はわかるが氏名が分からない場合の調査方法をご紹介します。
①SNS・勤務先HPを確認する
不倫相手のSNSアカウントがわかる場合は、その投稿内容をチェックしたり、他のSNSアカウントが無いか調べてみる方法があります。
フェイスブックなどのSNSは本名を公開していることが比較的多く、そこから情報を得られるかもしれません。
また、勤務先がわかる場合は、会社HPに社員紹介やインタビューが掲載されていないか確認する方法もあります。
②不動産登記簿謄本を取得する
不倫相手が一軒家に住んでいる場合、その家の不動産登記簿謄本を法務局で取得できます。
土地建物の名義人は必要な証明書などなしに、誰でも確認できるようになっています。
これは、誰でも見れることで取引の公平性・安全が図られているためです。
不動産登記簿謄本を確認した結果、所有者が不倫相手の場合・不倫相手の家族の場合があります
不倫相手が一軒家に住んでいることがわかった場合、その家の不動産登記簿謄本を取得します。
不倫相手が所有者になっていることもあれば、その家族が所有者になっていることもあります。
③不動産管理会社に問い合わせる
不倫相手が住んでいるマンションやアパートの部屋番号までわかっている場合は、不動産管理会社に弁護士会紹介をすることができます。
プライバシーに関わるという理由から、情報が得られないケースが多々あるようですが、得られることもあるようです。
まとめ
配偶者の不倫が発覚し、不倫相手に慰謝料を請求したいけれど身元が分からない…そんな方に向けて、不倫相手の住所を調べる方法や氏名を知る方法をご説明しました。
慰謝料請求は3年という時効があるため、あまり調査に時間がかけられないものでもあります。
個人では集められる情報に限界がありますが、弁護士や探偵といった専門家に依頼することでスムーズに進めることができます。
ご自身で全て集めようとするよりも、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。