配偶者が他の異性と不倫していることを確信しても、配偶者や不倫相手が不貞行為の事実を認めないことがあります。不貞行為をされた上に嘘をついて事実を否定されると許せない気持ちになり、離婚して高額の慰謝料を請求する決意を固める方も多いことでしょう。
一方、不貞行為をされても離婚するつもりはなく、事実を認めて謝罪してほしいという方もいるでしょう。それなのに、配偶者や不倫相手に白を切られると許したくても許すことができず、どうすればいいのか分からなくなってしまうものです。
この記事では、パートナーが不貞行為を認めない理由や不貞行為を立証する証拠、慰謝料請求の際の注意点について解説します。
不倫を認めない理由
そもそも配偶者や不倫相手が不倫を認めないのはなぜでしょうか。
認めないことには必ず理由があります。
ここでは、相手が認めない理由としてあげられる代表的なものをご紹介します。
証拠がないと高をくくっている
最も多いパターンは、確たる証拠はないだろうと高をくくっている場合です。
「LINEのやり取りは都度消すようにしていた」「探偵に依頼するようなお金はないだろう」という考えから、証拠なんてあるわけがないと信じる人は多くいます。
証拠がないのに不貞行為を認めるのは損だと考え、不倫を認めないのです。
慰謝料を払いたくない
不倫を認めてしまうと慰謝料を払うことになる可能性が高くなります。
したがって、不倫を認めなければ慰謝料を払わなくて済むのではないかと考えるのです。
「不倫を認めてしまっては慰謝料を払わないといけなくなる、証拠があっても認めなければ慰謝料の支払いを免れられるのではないか」などという考えに至るのです。
不倫相手をかばっている
不倫を認めないパターンには、不倫相手をかばっている場合もあります。
夫婦関係を悪化させてしまうことを避けるために既婚者である不倫相手をかばっている場合もあれば、独身である不倫相手が責任を問われないようにかばっている場合もあります。
離婚したくない
離婚したくないから不倫を認めないというパターンもあります。
不倫は軽い気持ちでしていたもので、真剣な交際ではなく、配偶者との関係を悪化させることは本意ではなかったという場合は多くあります。
遊びで始めた不倫が大事になるとは思っていなかったため、不倫を認めてしまうと離婚になるのではないかと恐れて不倫を認めないのです。
認めないのが優しさと思っている
最後に、不倫を認めないのが配偶者への優しさと思っているパターンです。
配偶者が本当は不倫をしていないのではないかという最後の信頼に応えることで、配偶者を傷つけないようにしたいという思いから不倫を認めない場合があります。
不貞行為を立証するためにはどうすればいいの?
不貞行為があったことを立証するのは簡単なことではありません。
実際、性行為をしている場面を押さえるのは難しいものです。不貞行為を立証するためには、配偶者と浮気相手に肉体関係があったことを証明する必要があります。
証拠がなければ不貞行為があったとは中々認めらないのが現実です。
また、証拠がない段階で不倫を問い詰めてしまうと、これまでのやり取りや写真など証拠になりえるものを削除し、確証を得づらくなるケースもあります。
不貞行為を立証するためには、慎重に行動して証拠を集めていく必要があります。
不貞行為の証拠となり得るもの
ここからは不貞行為の証拠となるものを解説します。
先にも説明した通り、相手と肉体関係があったことを明確に示すものが証拠として有効です。
なお、単体では効力の弱い証拠でも、複数の証拠を組み合わせれば不貞行為があった事実を立証できる可能性もあります。紹介するものの中で、どのような証拠を集めるべきか探偵や弁護士に相談してもいいかもしれません。
不倫・不貞行為の立証で使える強力な証拠
まずは、不倫の証明に使える証拠の中でも、肉体関係を証明できるものをご紹介します。
動画・写真
性交渉をしているときに撮影した動画・写真は直接的な不倫の証拠になります。
性交渉の際に使う避妊具や道具など
不倫相手との性交渉で使う避妊具やローションなどの道具が配偶者のカバンの中から見つかるケースがあります。配偶者に対する不倫の証拠にはなるでしょう。
不倫の自認書・録音データ
配偶者や不倫相手が肉体関係をはっきりと認めた自認書・録音データがあれば、直接的な不倫の証拠になります。
ただし、書面や録音データがあっても、「デートをしたことがあります」程度で肉体関係があったことがわからなければ証拠価値は低くなります。
メール・ダイレクトメッセージ・チャット
メッセージやメール・SMS・DMやチャットなどの記録でも、ホテルや旅行に行った・相手宅に泊まったなど肉体関係を推測させるものは不倫の証拠になり得ます。
ただし、単なる一般的な会話であれば証拠価値は低くなります。
ホテルの領収書・サービス券
ホテルやラブホテルの領収書・明細書は不倫の直接的な証拠になります。
ただしホテルの明細書には代表者1名の氏名しか書かれないので、誰と行ったかわからない点が課題となるでしょう。
手帳・スケジュール帳・日記
手帳・スケジュール帳・日記などに不倫相手とのデート日やデートの内容などが書いてあると不倫の証拠にできる可能性があります。
エコー写真・産婦人科の診療報酬明細書
エコー写真や産婦人科の診療報酬明細書など、妊娠や堕胎がわかる資料は直接的な不倫の証拠になります。
調査報告書(探偵事務所・興信所など)
探偵事務所や興信所に尾行調査してもらい、不倫の現場を押さえられたらほぼ確実な不倫の証拠になります。
身近にある意外な不倫・不貞行為の証拠
上記のような確証を得ることができるような証拠の他にも、日常生活の中には不倫の証拠になる可能性があるものがあります。証拠集めで困ったとき、参考にしてみてください。
SNS・ブログ・メール
SNSでのやり取り、ブログの投稿内容、メールなどから2人の親密な様子がわかるケースがあります。
手紙・メモ
相手から渡された手紙やメモから不倫を推察できるケースがあります。
誕生日カード・メッセージカード
誕生日や交際開始記念日などに相手から受け取ったメッセージカードから、2人の親密な様子を読み取れるケースがあります。
クレジットカードの明細書
デートの際、レストランや映画・観劇・テーマパーク入場料などの支払いをしていれば、領収書やクレジットカードの明細も証拠になると考えましょう。
交通ICカードの利用履歴
交通ICカードの利用履歴から、不倫相手宅に行っている事実を推察できるケースがあります。
相手からもらったプレゼント
相手から高級ブランドの衣料品やアクセサリー・時計をもらったなど、不自然に高額な物を持っていたら不倫の証拠になる可能性があります。
通話履歴
携帯電話の通話履歴において、毎晩のように長電話しているなど不自然な通話があれば不倫の証拠に使える可能性があります。
カーナビの履歴
不倫相手の家付近の場所が検索履歴に残っていたり目的場所として地点登録されたりしていたら、不倫の証拠に使えるでしょう。
GPS記録
GPS追跡により、深夜に不倫相手宅へ行ったり会社帰りにホテルに寄ったりしている事実が判明すると、不倫の証拠に使える可能性があります。
住民票写し
不倫相手が近くに引っ越してきた場合や夫が家出して不倫相手の近くに住み始めた場合など、住民票を移したら不倫の証拠にできるケースがあります。
子どもの血液型・DNA鑑定
子どもが実は「不倫相手の子どもだった」というショッキングなパターンです。子どもの血液型を父親が調べてみて、自分と一致しなかったら不倫相手の子どもである可能性が高いでしょう。DNA鑑定を行うと親子関係を明確にできます。
第三者の証言
不倫相手が不倫を告白した場面に居合わせた友人など、第三者証言が不倫の証拠になるケースもあります。
慰謝料請求する際に気をつけたいこと・知っておくべきこと
有利に慰謝料請求するためには、知っておくべきことがいくつかあります。ここでは簡単に解説していきます。
慰謝料請求には時効がある
不貞行為の慰謝料請求には時効が設けられています。
不貞行為の事実若しくは浮気相手を知った時から3年、または不貞行為をした時から20年が時効となっています。これらの時効を過ぎると、パートナーまたは浮気相手への慰謝料請求はできなくなりますので注意しておきましょう。
ただし、時効を過ぎて慰謝料請求ができなくなったとしても、相手が慰謝料を支払う意思がある場合には受け取ることが可能です。
パートナーまたは浮気相手が慰謝料の支払いをした後に、時効が完成していることに気がついたとしても、時効の完成を理由に一度支払った慰謝料の返還請求はできないとされています。
慰謝料には相場がある
不貞行為の慰謝料は、不貞行為によって精神的な苦痛を負ったとしてパートナーまたはその浮気相手の両方に対して請求できます。
不貞行為の慰謝料は、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求」であり、50万円から300万円が相場といえるでしょう。
また、慰謝料の相場は不貞行為が原因となって離婚・別居したかによって相場が変わります。
法的知識があった方が有利に慰謝料請求できるでしょうから、相手と話し合いで解決したい場合であっても弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
配偶者に不倫されただけでも、された方にとっては耐えがたい屈辱や悔しさ、今後の人生に対する多大な不安を感じるはずです。それにもかかわらず、配偶者や不倫相手が不貞行為を認めない場合は、感情を抑えきれなくなるのも無理はないのかもしれません。
まずはひと息ついて、自分が何を求めているのかを考えてみましょう。
配偶者と和解してやり直したいのか、離婚したいのか、さらに慰謝料を請求したいのかを考えてみるのです。何を求めるにしても、感情的になって不貞行為の事実を相手に問いただすことは逆効果にこそなれ、得策ではありません。
不貞行為を認めない場合に話し合いを進めようとしても、相手が無視や拒絶などをして話し合いが進まないことは少なくありません。
少しでも有利に慰謝料請求するために、弁護士への相談が有効となるでしょう。
解決に向けてどのように一歩を踏み出せばよいのかが分からないときは、一人で悩まずに探偵社や弁護士の無料相談を活用してみましょう。