浮気相手の職場に連絡してはいけない?

浮気相手の職場に連絡してはいけない?

パートナーの不倫が発覚した際に”復讐のために不倫相手の職場に電話をして暴露してやりたい…!”
というように、怒りからこのような衝動に駆られてしまう方もいるのではないのでしょうか。

実際に不貞されてしまった側の配偶者が、浮気相手に何かしらの嫌がらせを行い報復するというケースは、よくあることです。

しかし当然ですが、浮気相手だからといって、どんな制裁を加えてもよいというわけではないのです。度を超えた嫌がらせをすると、むしろ嫌がらせをした側が不利になってしまう場合があります。

結論からお伝えすると、浮気相手の職場に連絡することはオススメできません。

この記事では相手の職場に連絡した場合に起こると想定される出来事、合法的に浮気相手と戦う方法についてまとめました。

目次

浮気相手の職場に連絡するとどうなる?

たとえば浮気相手の職場に電話して、相手の職場に不倫を暴露するとします。

しかし、このような行為をしてしまうと、あなたが法的に訴えられてしまうリスクがあります。浮気されて怒りが収まらない場合でも、浮気相手の職場に電話をかけるというのは得策ではありません。

懸念されるリスクは主に2つあります。

1:あなたが逆に訴えられてしまう可能性がある

威力業務妨害罪にあたる可能性

職場へ電話をかける行為は威力業務妨害や偽計業務妨害にあたる可能性があり、会社から訴えられてしまうことがあります。

あなたにとっては浮気されたことは一大事でも、会社にとって浮気と業務は全く関係ありません。

そのため浮気相手のことを会社の電話を使って伝えてしまうと、業務妨害罪として会社から訴えられることになりかねません。つまり刑事責任を負うことになるのです。

名誉毀損罪にあたる可能性

浮気相手の職場に電話をして不倫を暴露する行為は、名誉棄損罪(刑法230条)が成立する可能性があります。

名誉棄損罪は、”公然”と事実を適示し、人の名誉を”棄損”したときに成立します。

“公然”とは、不特定または多数の者が認識しうる状態のことで、実際に認識することまでは必要ではないのです。また事実が広まってしまう可能性があれば、伝達対象が少数でも、”公然”といえると解釈されるのです。

“棄損”とは、被害者の社会的評価が低下する危険が生じたことを指し、現実に社会的評価が低下することは必要ではありません。

上記のような名誉棄損罪の要件を前提とすると、浮気相手の職場に電話して不倫を暴露する行為は、1人にしか伝えていない場合でも、職場にいる不特定多数の人に広まってしまう可能性があるので”公然”といえるのです。

さらに不倫をしているということを他人に知られれば、不倫した配偶者の社会的評価が低下することもあります。そのような場合には名誉棄損罪が成立する可能性があります。

名誉棄損罪の法定刑は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金とされています。

プライバシーの侵害にあたる可能性

仮に刑事責任は免れたとしても、浮気相手の職場に電話をして不倫を暴露することは、浮気相手のプライバシー権侵害・名誉権侵害として、不法行為(民法第709条)が成立する可能性があります。

そうなると浮気相手本人から訴えられる場合もあります。悪いのは不倫した側ではありますが、法律的には会社という第三者に勝手に不倫したという事実を暴露されることは、プライバシーの侵害、及び名誉毀損に値するのです。

東京地方裁判所平成25年1月17日の裁判では、浮気された配偶者から浮気相手への不貞慰謝料請求訴訟で、浮気された配偶者が浮気相手の勤務先に対して電話をした行為等が浮気相手のプライバシー権の侵害等になるとして、反訴(被告から原告に対する訴え)を提起した事件となりました。

具体的な内容として、浮気された配偶者が、浮気相手の勤務先のお客様相談室に、浮気相手が不貞していることを告げたり、お客様窓口に不貞を暴露する内容の投書を送ったというものでした。

同裁判例は、上記の行為が、浮気相手の名誉権侵害になり不法行為を構成するとして、慰謝料を10万円としました。

同裁判例のように、浮気相手の職場に電話して不倫を暴露すれば、不貞された配偶者のほうも、浮気相手に慰謝料を払うことになる場合があるのです。

2:慰謝料請求の際に不利になる

上記の例で説明した通り、浮気相手の職場に電話する行為は違法行為にあたる可能性があります。

不倫が発覚したことで、相手が退職に追い込まれることもあるはずです。

慰謝料請求自体は成立したとしても、相手から慰謝料以上の損害賠償請求をされてしまいかねません。

さらにあなたの暴露により浮気相手の収入が減った場合、慰謝料が減額される理由になります。

浮気相手の職場に電話すると、今後あなたが取得できるであろう慰謝料にも悪い影響を及ぼし、希望どおりの金額とはならない可能性が高くなります。

交渉の段階で減額を求められる可能性もあるのです。

浮気相手の職場に電話する以外の制裁方法

「訴えられたり、名誉毀損で損害賠償請求されるのも困る…だけど浮気相手の職場に浮気を暴露してやりたいという気持ちが収まらない…」
このような場合には、職場に内容証明郵便を送るという方法があります。

内容証明郵便とは、いつ誰が、誰に対して慰謝料請求をしたのか、また交際中止を求める文書を送ったのかなどの内容を郵便局が証明してくれるものです。

内容証明郵便を送ると、不倫相手にこちらの怒りの本気度を示したり、プレッシャーを与えることができます。

会社に内容証明郵便が送られてくれば、大抵の人は「この人もしかしたら、何かをして訴えられているのかな」と察するはずです。直接的ではないですが、あなたが望む状況が作れるのではないでしょうか。

実行する場合、以下の5点を用意し郵便局から内容証明郵便を送りましょう。

①内容証明の文書
②内容証明文書を複写または全て書き写した2通分(あなたが保管する用と郵便局側で保管する用)
③不倫相手の職場の住所とあなたの住所・氏名が記載されている封筒
④内容証明の郵送料金(1532円~2000円程度)
⑤印鑑

内容証明郵便を送れる郵便局は限定されていますので、事前に最寄りの郵便局が対応しているか確かめておきましょう。

浮気相手の職場に内容証明郵便を送る際の注意点

浮気相手の職場に内容証明郵便を送る場合は必ず以下の3つのルールを守るようにしましょう。

①職場に送らざるを得ない状況に限ること
②他の人が開封しないようにすること
③浮気の証拠を得てから送ること

一つずつ解説していきます。

①職場に送らざるを得ない状況に限ること

相手の自宅の住所がわかっている場合などは、職場に送ってはいけません。

自宅に送ったが受け取りを拒否された場合などは職場に送っても問題ありません。ただし、むやみに職場に送り付けることは絶対にやめましょう。

②他の人が開封しないようにすること

故意に宛名を書かずに、他の誰かが開けるように仕向けることは止めましょう。

これまでにお伝えした通り、第三者に不倫のことを勝手に暴露したということになり、あなたが名誉毀損で訴えられてしまいます。

きちんと浮気相手の宛名を書き、本人以外の人が開封しないようにしてください。

③浮気の証拠を得てから送ること

浮気の証拠もないのに内容証明郵便を送る行為は止めましょう。

本当に浮気をしている場合でもシラを切られたり、浮気をしていなかった場合はただの言いがかりになってしまったりと、どっちにしてもあなたの立場が悪くなってしまいます。

事前にパートナーとその相手が肉体関係を持っていたことを証明できるような法的な効力があるものを揃えておき、相手が100%言い訳して逃げることができない状況になってから送るようにしてください。

例えば、ラブホテルへ出入りしたことがわかる写真や動画、レシートがあれば間違いないでしょう。

リスクを負わずに浮気相手に制裁を加えたい場合

内容証明郵便も送り方や内容に注意しなければこちらに不利に働くことがあります。

それでは、リスクを負わずに相手にダメージを与えるにはどうすればいいのでしょうか。

ここでは合法的に解決する2つの方法をご紹介します。

慰謝料を請求する

“お金”というのはわかりやすく相手にダメージを与えることができます。

不貞行為に対して慰謝料請求をすることで、合法的に相手を懲らしめることができるのです。

慰謝料額の相場は、「不倫が原因で離婚した場合や別居した場合」と「離婚も別居もしない場合」で大きく差があり、安い場合で50万円、高い場合で300万円程度となっています。

慰謝料を請求する時には、相手が逃れられないように浮気の証拠が必要です。

慰謝料の請求をしたいけれど、まだまだ十分な証拠を手に入れられていないという方は、まずは不倫調査での実績がある探偵へ相談してみましょう。

誓約書を書かせる

慰謝料請求以外に、不倫相手に誓約書を書かせて二度と二人で会わないように約束させたり、連絡を取り合わないようにさせたりして、配偶者と不倫相手の物理的距離を離すという方法もあります。

不倫相手にとって、あなたのパートナーと本当に愛し合っている本気の相手だった場合、二度と会えないとなると相手にかなりのダメージを与えられるのではないのでしょうか。

浮気相手の職場しか連絡先がわからない場合はどうしたらよいのか?

浮気相手と連絡を取りたいが本人の連絡先がわからず、勤め先しかわからない…このような場合はどうすればいいのでしょうか。

相手の連絡先を知らなければ、職場に連絡するしか連絡を取る手段はないでしょう。

結論から言えば、このような場合は職場に電話をしても問題ありません。しかしその際は、本人以外には不倫のことが広まらないように配慮することが大切です。

また本人と話をする際も、会社の電話を使い長時間にわたって不倫の件について話し合うことは業務妨害にあたりますので、不倫のことで話し合いたいという旨を簡潔に伝えて、本人の直接の連絡先を聞くようにしましょう。

まとめ

配偶者が不倫していると分かったときには、冷静さを欠いて、極端な行動をとってしまいがちです。

しかし今回説明したように、不倫相手の職場へ連絡して暴露することは非常にリスクが高く、民事上・刑事上の責任に発展してしまいかねません。

悪いのは不倫した側なのに、あなたが悪者として訴えられてしまっては元も子もないですよね。

悔しさ、悲しみ、怒りを感じる気持ちは理解できますが、ここはぐっとこらえ、冷静になって合法的に戦うことが大切です。くれぐれも不倫の被害者であるあなたが損をすることのないようにしてください。

弁護士に相談するなどして、法的に正しい方法で対処しましょう。

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