探偵が浮気調査を行った場合、「調査報告書」を作成します。
浮気調査の報告書は、内容と形式次第で裁判において有効な証拠として認められ、依頼者が有利に交渉を進めるための重要な材料となります。
今回は、浮気調査報告書の基本的な内容、チェックすべきポイント、および活用方法について紹介します。
浮気調査報告書とは?
調査報告書とは、依頼者からの相談内容に基づいて調査を実施し、その結果をまとめたものです。
浮気調査の場合、依頼者のパートナーが「いつ」「どこで」「誰と」「何をしたか」を詳細に記載しています。
浮気調査で対象者が浮気をしていた場合、調査報告書は確固たる証拠となります。
依頼内容や目的によって異なる
調査報告書の内容は、探偵や興信所に依頼する調査の種類によって異なります。
通常、裁判に提出できる形式で作成されますが、裁判に利用する予定がない場合は、簡易型の調査報告書を作成してもらうことも可能です。
調査報告書には大きく分けて2つの種類があり、どちらの報告書を受け取るかによって、その後の対応に大きな影響を与える可能性があります。
裁判でも使える調査報告書
浮気調査の報告書は、慰謝料請求や離婚裁判などの証拠資料として利用することを前提に作成されることが多いです。
浮気や不貞行為の証拠とは、密会現場や肉体関係があると確定できる客観的な物証を指します。そのため、報告書には調査対象者の不貞が明確に判断できる物証が含まれており、「いつ」「どこで」「誰と」「何をしたか」が分かりやすく説明されています。
訴訟を視野に入れて探偵に浮気調査を依頼する場合、詳細な内容の調査報告書を作成してもらうことが重要です。
簡易的な調査報告書
探偵に依頼した浮気調査の結果を裁判に使用する予定がない場合、簡易的な内容の調査報告書で十分です。
簡易報告書を依頼すると、料金が安くなることが多く、作成にかかる時間も短縮されます。裁判を考えておらず、早く安く浮気調査を依頼したい場合には、簡易報告書を作成してもらうことも一つの方法です。
さまざまなデータで浮気の証拠が記録される
浮気調査の報告書にはさまざまな形式があります。
調査後に依頼者に渡されることが多い調査報告書、DVD資料、録音音声データについて詳しく見ていきましょう。
文章と写真による調査報告書
探偵社や興信所が作成する調査報告書には、浮気調査中に把握した対象者(パートナー)や浮気相手の行動履歴(日付、時間、場所、目的地までのルートなど)が詳細に記録されています。
信憑性を持たせるため、対象者が浮気相手と一緒にいるときだけでなく、一人でいる時間の行動も具体的に記録されます。
さらに、不貞の事実を客観的に示す証拠写真(ホテルに出入りしている、キスをしているなど)も裏付け資料として添付されます。
また、調査の過程で浮気相手の氏名、住所、仕事などの素性が判明した場合、それらも記録されます。
映像による証拠となるDVD資料
DVD資料とは、浮気調査中に撮影された対象者や浮気相手の映像をまとめたものです。
調査に関わった全ての調査員が撮影した映像を見やすく編集し、明るさや手ブレの補正を行うことで、クオリティの高い映像資料を作成して依頼者に提供します。
調査報告書に具体性を持たせるため、動画でしか伝わらない情報(親密度など)を示す目的で、DVD資料を作成する探偵社や興信所が増えています。
会話を証拠として記録する音声データ
録音音声データは、調査中に対象者に接近したり、直接接触したりした際に録音された会話を含むデータです。
浮気相手との会話など、二人の親密度がわかる資料として、DVD資料と同様に依頼者に提供されます。
写真や動画ほど重要ではありませんが、調査報告書の補完資料として使用されるケースが多くあります。
調査報告書に記載される内容
調査報告書には、調査内容や得られた情報が、時系列に沿って詳細に記載されています。
調査報告書の内容は各調査ごとに異なりますが、基本的には以下のような項目が含まれます。
調査実施日、調査開始・終了時刻
調査の目的・方法
調査対象者の服装や見た目の特徴
調査中の移動手段、移動ルート
訪れた場所の名称や住所、訪れた時間
対象者が接触した者の特徴
その他写真や動画の添付
これまで説明した通り、基本的に調査報告書には写真が添付されており、必要に応じて動画、音声も加えられます。
なお、写真や動画の撮影や音声の録音は、盗撮や盗聴といった違法な方法では行われないため問題ありません。
このような詳細な情報が記載されることで、確実な証拠として扱うことが可能になります。
裁判で有利になる証拠とは?
探偵社に浮気調査を依頼し、その調査結果をもとに裁判で離婚や慰謝料請求を行う場合には、裁判で有利になる証拠が必要です。裁判で有利になる証拠とは、誰が見ても不貞行為の事実が明らかであるものを指します。
具体的には、依頼者の配偶者と浮気相手が肉体関係を持ったことが分かる証拠です。
例えば、配偶者と浮気相手が性行為をしている写真や動画があります。
また、二人がラブホテルに入る写真や映像も証拠として有効です。さらに、配偶者が不貞行為を認めた写真や映像、直筆の文書も裁判で有効とされることが多いです。
【要注意】証拠として不十分な報告書とは?
浮気調査報告書の精度が低いと、「浮気の証拠として不十分」とみなされることがあります。
例えば、以下のような場合には、裁判資料として採用されないこともあります。
文章ばかりで信憑性に欠ける
不貞行為があったと推測できる写真がない
写真や画像の画質が悪く、対象者の顔がはっきりと写っていない
主観的で憶測による文章ばかり記載されている
違法な手法で証拠を入手している
浮気調査報告書の内容に矛盾点がある
浮気調査を依頼する際には、まとまった調査費用を探偵社に支払うことになります。
そのため、信頼できる探偵社に依頼し、きちんとした浮気調査報告書を作成してもらうことをおすすめします。
浮気調査を依頼する前に、調査報告書のサンプルを確認!
浮気調査報告書には定型のフォーマットはなく、探偵社ごとに決められた形式や書式に基づいて作成されるため、記載内容の質や量に違いが出ます。
どの探偵に依頼しても必ずしもハイレベルな報告書を作成してくれるとは限らないため、注意が必要です。
調査報告書の精度を確認するためには、探偵社のホームページをチェックしたり、調査の相談時に報告書のサンプルを確認することが重要です。サンプルを見ることで、調査内容や撮影された写真、記載内容を確認することができます。
次に、精度の高い調査報告書を見極めるためのチェックポイントを紹介します。
調査報告書のチェックポイント
探偵の調査報告書のサンプルを確認する際のチェックポイントを7つご紹介します。
7つのチェックポイント
- 1、写真の鮮明さ
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浮気の証拠となる写真が鮮明であるかを確認しましょう。
- 2、時刻の明記
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証拠写真が撮影された時刻がわかるように記載されているかを確認します。
- 3、時系列の整理
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調査内容が時系列で整理され、分単位まで詳細に記載されているかをチェックします。
- 4、施設の名称や位置情報
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ターゲットが訪れた施設の名称や位置情報が記載されているかを確認します。
- 5、客観性
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報告書が客観的な内容であるかを確認します。主観的な意見や推測が含まれていないことが重要です。
- 6、写真の枚数と質
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証拠写真の枚数が多すぎず、少なすぎず、質の良いものが事実を十分に証明できるだけ揃っているかを確認します。
- 7、詳細かつ正確な記述
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記載内容が対象者の行動を時系列で並べ、客観的事実を詳細かつ正確に書かれているかを確認します。
このように、調査報告書のサンプルを確認することで、探偵社の報告書の質が把握でき、適切な依頼先を選ぶことができます。
浮気調査報告書の活用方法
浮気を認めさせる
探偵が作成する調査報告書は、浮気を認めさせる強力な証拠となります。
浮気の証拠がない場合、いくら問い詰めても相手がシラを切ったり言い逃れをする可能性がありますが、調査報告書は誰が見ても浮気が明らかであるように作成されています。
そのため、調査報告書を提示されたパートナーは反論できず、浮気を認めるでしょう。
浮気相手と別れさせて念書を書かせる
パートナーと離婚しない場合、一般的には浮気を止めさせたいと考えるでしょう。
浮気の証拠となる調査報告書をパートナーに見せ、浮気を認めさせた上で、浮気相手と別れる約束や再度浮気をしない約束をさせることができます。
また、これらの約束を破った場合のペナルティを決めて念書を書かせることも、再発防止に大いに役立ちます。
浮気調査の際には、浮気相手の写真も撮られているはずですので、パートナーだけでなく、浮気相手にも別れるよう要求したり、同様に念書を書かせることも可能です。
パートナーや浮気相手に対して慰謝料を請求する
パートナーが浮気をした場合、浮気相手との間に不貞行為があれば慰謝料を請求することができます。慰謝料は離婚するかどうかに関係なく、浮気したパートナーとその浮気相手の両方に対して請求可能です。
もし相手が浮気を認めず、慰謝料の支払いを拒んで裁判に発展した場合でも、不貞の証拠があれば慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
探偵が作成した調査報告書を証拠として提出することで、慰謝料の支払いを求めることができます。
裁判を行わず示談で解決する場合でも、調査報告書という確かな証拠があれば、交渉を有利に進めることができます。
離婚協議を有利に進める
不貞行為によって裁判で有責配偶者と認定されると、原則としてその有責配偶者から離婚を請求することはできなくなります。有責配偶者とは、離婚の原因を作った配偶者のことを指します。
浮気の事実が発覚し、パートナーから離婚を切り出されることがありますが、それを阻止することが可能です。離婚によって生活環境が変わることを避けたい場合には、この状況は有益です。
逆に、浮気が原因で離婚を望む場合、パートナーが離婚を拒んでも、不貞行為の証拠を提示することで裁判で浮気を立証することができます。
ただし、裁判には時間がかかります。調査報告書を見せることで浮気の事実をすんなりと認めさせ、裁判に進まずに話し合いで解決できれば、時間や費用を節約できます。
裁判で提出
浮気をされた際に慰謝料の請求や離婚を求めても、話し合いで合意に至らないことがあります。
証拠を提示しても、相手が頑なに慰謝料の支払いや離婚を拒む場合があります。また、慰謝料の金額や離婚の条件(財産分与、親権、養育費など)について意見が食い違い、話がまとまらないこともあります。
このような場合でも、探偵が作成した調査報告書は裁判に提出可能であり、法的に有力な証拠となります。
したがって、調査報告書があれば、相手との意見の違いがあっても、裁判で法的に正しい判断をしてもらうことができます。
浮気調査にかかる時間
浮気調査には大きく分けて2つの方法があり、それぞれ調査期間が異なります。
最短で調査当日に結果が判明する場合もありますが、報告書作成の期間を含めて2〜4週間ほどかかると考えてください。
肉体関係を証明できる証拠が必要なため、調査報告書の完成までに1〜2ヶ月ほどかかることを認識しておきましょう。
調査期間を短縮したい場合は、怪しい日を特定するなど、事前にできるだけ多くの情報を集めておくと効果的です。
調査報告書の取り扱いは慎重に!
浮気調査の報告書は基本的に再発行ができません。
これは、探偵が調査に関する守秘義務を守り、個人情報の漏洩を防ぐために、調査終了後一定期間が過ぎたデータをすべて破棄するからです。
そのため、調査報告書は大切に保管し、紛失しないように徹底しましょう。
裁判で使用するまでに紛失したり、配偶者に見つかって破かれたりするケースもあります。
不安がある場合は、探偵会社によっては一時的に報告書を預かってくれるところもあるので、相談してみると良いでしょう。
浮気調査は信頼できる探偵社に依頼しよう
探偵会社や興信所と一口に言っても、その質や実績にはさまざまな差があります。
調査報告書の作成を依頼する際にはそれを得意とする依頼先を選び、料金設定やスケジュールを比較して、自分のニーズに合ったところを見つけることが重要です。これにより、より効率的に調査を進めることができます。
ここでは、浮気調査報告書をチェックすることで分かる優良な探偵社の特徴について説明します。
調査報告書でわかる!優良な探偵社とは
優良な探偵の調査報告書には、4つの重要なポイントがあります。
より良い調査報告書を依頼するためには、これらのポイントを理解しておくことが大切です。
①調査報告書は無料
優良な探偵会社では、基本的に調査報告書は無料で作成して提供してくれます。
ただし、中には「裁判用の詳細な調査報告書は有料」とする会社もあります。これは有料だからといって悪質な探偵会社というわけではありません。
依頼者としては、調査報告書のサンプルを見せてもらい、有料でも価値があるかどうかを判断することが重要です。
②調査終了後、速やかに報告書が提出される
優良な探偵社は、契約時に定めた調査期間内で調査が完了した場合、速やかに調査報告書を提出してくれます。
浮気調査は、証拠を収集することで依頼者に有利な立場を提供する手段でもあります。
調査終了後、1週間以内に迅速に調査報告書を提出してくれるのならば、信頼できる優良な探偵社と言えます。
③調査状況と調査員の人数が明記されている
優良な探偵は、調査前に必ず何人の調査員が尾行・張り込みを行うかを事前に報告します。
さらに、最終的な調査報告書には、調査の状況とともに調査員の人数や尾行・張り込みの方法が詳細に記載されます。
調査のすべての状況を明確にする姿勢があるかどうかが、優良な探偵を見分けるポイントとなります。
④対象者に動きがなかった場合の内容も記載される
優良な探偵会社であれば、対象者に浮気行動がなかった場合でも、その日の行動記録を詳細に報告書に記載してくれます。
調査費用を受け取る以上、浮気行動が確認されなかった場合でも対象者の行動を詳細に記録することが、優良な探偵会社の証です。
しかし、中にはろくな調査を行わず、「動きがなかった」と報告する悪質な探偵事務所も存在します。
無料相談などを利用して事前に探偵会社について情報を集め、依頼する探偵会社が信頼できるかをしっかりと検討しましょう。
まとめ
探偵が作成する調査報告書は、浮気調査で判明した全ての事実が詳細に記載された「確実な浮気の証拠」です。
個人で浮気の証拠を集めても、確固たるものでなければ相手が否認する可能性があります。
相手に浮気を認めさせて謝罪させたい、裁判で証拠として使いたい、慰謝料を請求したいなどの目的があり、自分だけでは限界を感じる場合は、探偵への調査依頼を検討しましょう。
また探偵に依頼する際は、調査報告書のサンプルを見せてもらい、しっかりと作り上げられているかどうかを確認することが重要です。